研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
野外におけるイネのツマグロヨコバイ抵抗性の変動について
平江雅宏1・田村克徳2(1北陸研究セ・2九州沖縄農研)
ツマグロヨコバイ抵抗性はイネの生育時期によって変動することが知られている(岸野・安藤,1971;武田・永田,1987)。しかし,これらの報告ではイネ体を葉または葉鞘と部位別に分け室内で検定しており,その結果が野外の状況と一致しているかは不明である。そこで,ツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子Grh-2を保有する系統(キヌヒカリ/中母農5号-2)を用い,葉検定,ポット放飼試験および野外密度調査を行い野外における抵抗性の変動について明らかにしようとした。葉検定は2006年の7月中旬から9月中旬まで7〜10日間隔で幼虫発育程度を指標にして調査した。ポット放飼試験は7月30日と8月31日にツマグロヨコバイ1齢幼虫を放飼して調査した。その結果,葉検定では出穂期(8月7日)直前に幼虫発育程度が低くなり,出穂後は急速に高まった。しかし,ポット試験では葉検定で抵抗性が弱まると判断される時期(8月31日)に放飼した区でも羽化率は低く,イネの成熟期においても抵抗性は高く保たれていると推測された。