研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
イネいもち病菌の病原力の差がコシヒカリ同質遺伝子系統混植圃場における増殖に及ぼす影響
平八重一之・芦澤武人・高橋真実・森脇丈治(北陸研究セ)
コシヒカリ同質遺伝子系統混植圃場において,2種類のレースのイネいもち病菌を伝染源とした結果,病原性の幅の広い菌が優勢となった(2005,北陸病虫研)。そこで,病原力の差がコシヒカリ同質遺伝子系統混植圃場(Pia:Pii:Pita-2:Piz =1:2:5:2)におけるいもち病菌の増殖に影響するか否かを検討した。伝染源には,OS99-G-7a株由来でパンチ接種による形成病斑長が長いG-7aHあるいは病斑長が短いG-7aL(ともに007.0)と,同じくOS99-G-7a由来の03-1-1(037.1)を1:1の比で組み合わせ,1区当たり計10個のパンチ接種病斑を6月下旬に設置した。その後,葉いもちおよび穂いもちの発病程度を調査するとともに,G-7aに特異的なDNAマーカーの検出の有無により分離菌株を同定した。その結果,葉いもちおよび穂いもちの発病程度は,G-7aHと03-1-1を伝染源とした区がG-7aLと03-1-1の区よりも高かった。また,G-7aHおよびG-7aLの分布率は,期間を通してそれぞれ40%および80%と推定された。以上より,病原力の差は,初期の発病程度に影響したが,いもち病が少発生であったために菌株の増殖には大きく影響しなかったものと推察した。