研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
新潟市のミツバから分離されたpotyvirusについて
佐野義孝(新潟大農)
平成18年8月,新潟市内の圃場においてモザイク症状を呈するミツバが見られ,罹病株からウイルスの同定を試みた。採集された検体より抽出した全RNAを鋳型として,potyvirus特異的プライマー(Gibbsら,1997)を用いたRT-PCRによりゲノム3‘末端を含む約1.6kbのcDNAが増幅された。塩基配列を解析した結果,ミツバモザイクウイルス(Japanese hornwort mosaic virus,JHMV)と高い相同性が認められ,九州で分離されたJHMVミツバ株(Okunoら,2003)および青森のセリから分離されたJHMV3分離株(福井ら,2004)との外被タンパク領域のアミノ酸配列比較において91–97%が保存されていた。またコンニャクモザイクウイルス(Konjak mosaic virus,KoMV)とは85.7%,Zantedeschia mosaic virus ( ZaMV)と88.4%のアミノ酸同一性が見られた。本ウイルスはミツバへの戻し接種により全身感染とモザイク症状が確認されたが,セリ科植物を含めた各種検定植物への宿主範囲については現在検討中である。