研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
新潟県におけるトスポウイルスによる病害の発生実態
棚橋 恵1・高橋 聡2・佐藤恵美子3・近藤康子3・中野太佳司1(1新潟農総研園芸研・2新潟県経営普及課・3新潟農普セ)
新潟県におけるトスポウイルス病害の発生は,1997年に新潟市の露地栽培キクでTSWVによるキクえそ病が初確認である。その後,主要媒介昆虫ミカンキイロアザミウマの発生拡大に伴い,施設栽培トマトを中心に発生が拡大した。今後も発生拡大が懸念されるため,県内主産地でのトスポウイルスによる病害の発生実態を調査した。新潟市内の施設栽培トマトおよび周辺露地植物を中心に巡回調査して,発病の疑われる植物を採取し宇賀ら(2005)の設計したディジェネレートプライマーを用いたRT-PCR法によりトスポウイルスの検出を行った。新潟市A地区の半促成トマト,トマト幼苗,カラーピーマンおよびシシトウ,B地区の抑制ミニトマト,C地区の中玉トマト,D地区の抑制トマトでTSWVによる病害の発生が確認された。また,これらの被害作物の周辺から採取された植物のうち,A地区の施設周辺に廃棄されたミニトマトからTSWVの感染が確認されたが,その他地域では未確認であった。また,A地区およびB地区でキクえそ病類似株が採取されたが,今回のRT-PCR法ではTSWVの感染は確認できなかった。