研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
新潟県における果樹カメムシ類の多発生とカキの被害
永瀬 淳・中野 潔・近藤 敬(新潟防除所)
新潟県では,2006年に果樹カメムシ類が多発生し,佐渡市など一部の地域でカキの多被害が認められた。予察灯(光源:100W高圧水銀灯,県内3地点)への総誘殺数は,クサギカメムシとチャバネアオカメムシの2種が多く,調査地点・種類により平年に比べ最大3倍程度の誘殺があった。カキ園内や園隣接の予察灯やフェロモントラップ(誘引源:チャバネアオカメムシ合成フェロモン)において,クサギカメムシは,7月上旬〜8月下旬(主に予察灯)と9月上旬〜10月中旬(フェロモントラップ)に明瞭な誘殺ピークがみられた。チャバネアオカメムシは,5月上中旬から9月上旬までほぼ連続して誘殺され,特に7月上中旬と7月下旬〜8月上旬,8月下旬〜9月上旬(いずれも予察灯およびフェロモントラップ)にまとまった誘殺があった。カキ果実への加害は7月下旬から10月下旬まで認められ,被害果数の変化や収穫期における果面上の加害位置から,夏季と秋季の2時期に集中して加害があったと推察された。予察灯等の誘殺消長や園内での観察事例から,2006年のカキの被害は,クサギカメムシの関与の程度が高いと考えられた。