研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
カスミカメムシ類の水田および休耕田における発生消長
福山真希1・足達太郎1・高橋明彦2・樋口博也2(1東京農大・2北陸研究セ)
アカヒゲホソミドリカスミカメは,北陸地域において斑点米カメムシの主要種である。近年,アカスジカスミカメの急激な個体数の増加がみられ,カスミカメムシ類の今後の発生には警戒を要する。これらカスミカメムシ類について,常発していると考えられる休耕田と直接被害につながる水田で定期的にすくい取りを行い,個体数の推移を調査した。水田で行ったすくい取り調査の結果,アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の捕獲個体数は8月上旬のイネの出穂を契機に増加し,その後幼虫も捕獲された。アカスジカスミカメ成虫は,イネの出穂以前には捕獲されなかった。出穂後も捕獲成虫数は少なく,幼虫もほとんど捕獲されなかった。休耕田では,アカヒゲホソミドリカスミカメの成幼虫は7月上旬に捕獲され,一時減少したが8月中旬に再度増加し,その後速やかに減少した。アカスジカスミカメ成幼虫は7月上旬に捕獲され,8月中旬以降に急激に増加した。以上より,休耕田ではアカスジカスミカメの発生は多いが,水田内ではアカヒゲホソミドリカスミカメの発生が斑点米被害に関与しているものと考えられる。