研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
土壌からのOlpidium菌休眠胞子の回収とチューリップ微斑モザイクウイルス(TMMMV)の検出
堀井香織1・守川俊幸1・石川浩一2(1富山農技セ野菜花き,2近中四農研)
チューリップ微斑モザイクウイルス(TMMMV)はOlpidium菌によって媒介される南防除土壌伝染性ウイルスである。本ウイルスによる被害を未然に回避するためには,ウイルス汚染圃場を特定して,そこでの作付けを回避する必要がある。これまで数種のウイルス捕捉植物を用いてウイルスを検出することに成功しているが,検定に時間を要するという欠点があった。そこで,捕捉植物を用いずに石川ら(2005)の方法により休眠胞子を土壌から回収し,これからウイルスの検出を試みた。すなわち,土壌に酢酸緩衝液(pH4.5)を加えて一晩浸透し,41µmメッシュのナイロンクロスで濾過した後,パーコール不連続勾配遠心分離等の操作により休眠胞子画分を回収した。次に,マルチビーズショッカーを用いてTRIzolを加えて破砕して全RNAを得た。これを鋳型にNested RT-PCR法によるウイルス検出を試みた結果,汚染程度の高い土壌数点からTMMMVを検出することができた。また,本法によりTMMMVが検出された土壌にチューリップを植え付けたところ,TMMMVの感染が確認された。