研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメの休耕田と水田における発生消長
福山真希1・樋口博也2・高橋明彦2(1東京農大・2北陸研究セ)
アカヒゲホソミドリカスミカメ,アカスジカスミカメはともに斑点米被害を引き起こす重要害虫である。北陸地域では1990年代中頃からアカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米被害が問題視されているが,ここ数年,アカスジカスミカメの急激な個体数の増加が認められている。そこで,休耕田と水田においてすくい取り調査を行い,両種の発生の推移を把握しようとした。休耕田で,アカヒゲホソミドリカスミカメ越冬世代の1齢幼虫は4月中旬から発生し,越冬世代,第1世代,第2世代の発生が明確に認められた。アカスジカスミカメの越冬世代の1齢幼虫は5月上旬から発生し,幼虫,成虫ともに多発生であった。しかし,第1世代の発生は少なく,7月下旬以降発生はほとんど認められなかった。水田で,アカヒゲホソミドリカスミカメは成虫,幼虫ともに発生が認められたが,アカスジカスミカメは「わせじまん」,「コシヒカリ」では出穂期を起点に若干の成虫の発生が認められただけであり,幼虫の発生は認められなかった。また,「こしいぶき」では,成虫の発生も幼虫の発生も認められなかった。斑点米被害を考えた場合,今後両種の水田での詳細な発生消長の調査が必要であると考えられる。