研究会(研究発表会)

第60回(富山)

講演要旨

中晩生イネ品種における紋枯病の薬剤散布時期と防除効果

向畠博行1・三室元気1・関原順子1・坂田清華121富山農技セ農試・2現:富山農技セ果樹試)

富山県育成の中晩生品種「てんこもり」の生育期の薬剤防除効果について,散布時期との関係を2006年と2007年に検討した。両年とも5月上旬に移植(栽植密度:70株/3.3m2)し,6月第6半旬にフスマ・籾殻培地で培養した紋枯病菌(90W-14菌)を波板で仕切った試験区内に接種した(生重で5 g/m2)。薬剤はアゾキシストロビン剤(1000倍,150l/10a相当量散布)を用い,出穂前の3時期に約7日間隔で各1回の散布区を設けた。各年次の出穂期は2006年が8月11日,2007年が8月16日であった。評価は羽柴式調査法による紋枯病の被害度および収量性から行った。薬剤無散布区の成熟期の紋枯病の全体被害度は2006年が58,2007年が78であった。病斑のイネ上位への進展推移は両年次の気象の違いでいくぶん異なったが,出穂17日〜3日前の散布では抑制され,出穂22日前の散布では8月下旬以降で病斑の再進展が見られた。被害度は出穂17日〜3日前の散布では低く抑えられ,出穂22日前では高かった。また,粒厚1.90mm以上の精玄米重は出穂11日〜3日前の散布で多かった。以上から,紋枯病の多発条件下で,本品種に対する出穂11日〜3日前頃の薬剤散布の効果が高いことが明らかとなった。

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2009.12.23更新