研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
褐色米から分離したFusarium graminearum種複合体のマイコトキシン産生能
本多範行1・古賀博則2(1福井農試・2石川県立大)
2006–2007年に福井県内で採取した褐色米からのFusarium菌分離率は1.8%で,そのうちGibberella fujikuroi種複合体が0.4%,赤色系Fusarium菌の分離率は0.2%と低率であった。7か所から分離した赤色系Fusarium菌のうち1菌株がF. avenaceumで,F. graminearum種複合体は30菌株であった。F. graminearum種複合体30菌株を米培地で25°C,2週間培養後,エライザ法によりデオキシニバレノール(DON),ニバレノール(NIV),T2トキシン(T2)およびゼアラレノン(ZEA)産生能を調べた。その結果,NIV産生菌は11菌株であった。DON・NIV両方を産生するものは19菌株で,そのうちDONよりNIVの産生量が多い菌株は18菌株,DON産生型は1菌株で,福井県内ではNIV産生型の菌株が多かった。また,T2を産生する菌株は確認されなかったが,17菌株がZEAを産生した。NIV産生型菌株の中でも,各マイコトキシンの産生量に大きな差があった。