研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
新潟県のダイズにおけるフタスジヒメハムシ発生消長と被害の特徴
山代千加子1・石本万寿広1・永瀬 淳2・原澤良栄1(1新潟農総研作物研・2現:新潟防除所)
新潟県三条市のダイズ圃場(品種;エンレイ,播種期;5月25日〜6月3日)で,2001・2002・2005・2007年の4年間,フタスジヒメハムシ成虫の発生消長を調査した。各世代成虫の発生盛期は第1世代;7月4〜6半旬,第2世代;8月第4〜6半旬,第3世代;9月第4〜5半旬であった。第1世代及び第2世代の発生時期の早晩は,おおむね気温の推移に依存する傾向がみられ,平年の気象推移では第1世代;7月第5〜6半旬,第2世代;8月第5〜6半旬と考えられた。第3世代では年次変動は小さかった。これは,第3世代成虫期にはダイズが成熟期に近づき,葉やサヤが餌として好適でなくなることから,発生盛期を迎える前に寄生密度が低下している可能性が考えられた。2007年に,防除方法を変えて発生量と消長の異なる区を設定し,被害発生状況を調査した。その結果,黒斑粒の発生程度は第3世代成虫の発生量との間に密接な関係がみられた。また,第2・3世代の成虫発生量の多い区では全粒数に占める中粒(粒径7.3mm)以上の比率が低下する傾向がみられ,幼虫による根部加害が粒肥大に影響を及ぼしている可能性が示唆された。