研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
薬剤によるいもち病の育苗期感染の防止効果
石川浩司1・佐藤秀明1・黒田智久1・堀 武志2(1新潟農総研作物研・2現:新潟県経営普及課)
各種薬剤によるいもち病の育苗期感染の防止効果を検討した。コシヒカリを用い,薬剤の施用量,施用時期の異なる区を設けた。いもち病菌の接種を出芽後の保菌もみ散布,放飼懸濁液の1葉期噴霧,2葉期噴霧の3時期で行い,発病苗率,1本当たりの病斑数により感染防止効果を評価した。試験は2回行い,いずれも甚発生であった。箱施用粒剤では,オリサストロビンがどの接種時期に対しても効果が極めて高かった。他の粒剤では1葉期接種の効果は低く,2葉期接種では効果が認められたが,抵抗性誘導タイプのプロベナゾール,チアニジルでは低い傾向であった。薬剤の施用量,施用時期による効果の差は認められなかった。チウラム・ベノミル剤の湿粉衣処理,カスガマイシンのは種時散布では,1,2葉期接種でも発病が抑制され,接種により生じた病斑は明瞭な止まり型となった。フラサイド剤は試験で効果に差があり,薬剤の残効期間と感染時期に影響されると推定された。以上から,いもち病の育苗期感染の防止にはオリサストロビン粒剤のは種時処理や,チウラム・ベノミル剤の湿粉衣処理,カスガマイシンのは種時散布,箱施用粒剤の組み合わせが有効であると考えられた。