研究会(研究発表会)

第60回(富山)

講演要旨

同質遺伝子系統混植栽培における葉いもち病斑の垂直分布に関与する要因

石川浩司1・堀 武志2・黒田智久1・佐々木行雄31新潟農総研作物研・2現:新潟県経営普及課・3現:新潟県農業大学校)

同質遺伝子系統の混植栽培では感受性系統の単植に比べ,群落上層に存在する病斑の頻度が低くなる(芦澤ら2000,堀ら2003)。その要因をS:R = 1:0,1:1,1:3とした試験ほ場における2002年の調査データおよび線形モデルを用い解析した。各区における病斑数の分布頻度は,病斑の高さ別,葉位別に算出しても傾向は同様であり,葉位別病斑数を解析の対象とした。そこで,生育中の最上位展開葉に対し,下位葉の病斑が伝染源となるモデルを作成し,各区共通のパラメータとして病斑の1世代当たり増加量は10倍,葉身の感受性は9葉期以降急速に低下すると設定した。各区の1病斑あたりの病斑増加量は感受性系統の混植比率に比例するとして演算すると,葉位別病斑数の分布頻度はS:R = 1:0では上位葉で高く,1:3では下位葉で高くなった。以上より,混植栽培における病斑の垂直分布の単植との違いには,葉いもちが増殖力の高い複伝染環病害であり,イネ葉身の加齢による感受性低下に加え,混植区における抵抗性系統による病勢進展量の減少が関与していると推定された。

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2009.12.23更新