研究会(研究発表会)
第60回(富山)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメおよびトゲシラホシカメムシの斑点米被害解析
吉島利則・青木由美(富山農技セ農試)
アカヒゲホソミドリカスミカメおよびトゲシラホシカメムシによる斑点米被害を解析するため,ポット植イネへの放飼試験を行った。品種はてんたかく(早生)およびコシヒカリ(中生)を用い,各処理3ポットを供試した。出穂期に両種カメムシの雌雄2対を放飼し,出穂30日後まで5日毎に殺虫剤を散布して加害時期に差を設けた。また,5日毎に両品種の割れ籾数を調査した。収穫後,割れ籾と正常籾,屑米と精玄米に分け,頂部と側部の加害部位別に斑点米数を調査した。てんたかくへのアカヒゲホソミドリカスミカメの放飼では,出穂10日後まではほとんどが頂部加害で,出穂10日後から15日後にかけては割れ籾の頂部加害が大きく増加し,出穂15日後から20日後にかけては屑米の斑点米が大きく増加した。コシヒカリへのアカヒゲホソミドリカスミカメの放飼では,ほとんどが正常籾の頂部加害で,粒厚1.9mm未満の割合が高かった。トゲシラホシカメムシの放飼では両品種とも側部加害が多く,てんたかくでは割れ籾と正常籾の斑点米数に顕著な違いはなかった。全体にてんたかくはコシヒカリよりも斑点米が多く,これは割れ籾の斑点米数の差によるものであった。以上のような両種カメムシの斑点米形成の特徴と割れ籾の発生および玄米の発育との関連性を考察する。