研究会(研究発表会)

第60回(富山)

講演要旨

大豆種子乾熱処理による種子伝染性病害の軽減効果

黒田智久・名畑越夫・佐藤秀明・石川浩司(新潟農総研作物研)

まず,乾熱処理が大豆種子の発芽率に与える影響を調査した。収穫年度(平成14年産,16年産),含水分率の異なる種子(7%,10%,14%程度)に対する乾熱処理を,温度(60°C〜80°C)及び時間(0hr〜48hr)を変えて行ったところ,古い種子ほど,含水分率,処理温度が高いほど,処理時間が長いほど種子の発芽率が低下した。ただし,発芽した種子でも子葉に損傷が認められ,初期成育が遅延した。そこで,含水分率7%程度,種子伝染率23%のCMV保毒種子を65°C/24hr,70°C/12hr,75°C/6hr処理したところ,発芽率に影響は見られなかったが,65°Cでは保毒率低減効果が認められず,70°Cと75°C処理で保毒率を半減させた。紫斑病汚染種子について,温度(40〜70°C)と処理時間(2〜10日)を変えて処理し,PSA培地に置床して菌の生存率を調査したところ,処理温度が高いほど,処理時間が長いほど生存率は低下した。また,被害面積が1/2以上,1/3以下,臍部のみ,見かけ上健全に分けて70°C4日間の乾熱処理を行ったところ,被害面積1/2以上ではほとんど効果が認められなかったが,見かけ上健全粒では保菌率が大きく低下した。以上から,新しい種子を用い,含水分率を下げて乾熱処理することで,保毒・保菌種子をある程度無毒化可能であると考えられた。

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2009.12.23更新