研究会(研究発表会)

第61回(石川)

講演要旨

ケイ酸施用を異にする水稲葉身および籾のいもち病菌接種部位におけるケイ素分布のエネルギー分散型X線分析装置による解析

杉浦良英1・杉原寛之1・塚本昇市2・吉本玲子1・古賀博則11石川県立大学・2石川農総研)

ケイ酸施用がイネのいもち病抵抗性を高めることが報告されているが,本菌接種部位におけるケイ素の存在様式はほとんど明らかにされていない。そこで,いもち病菌接種部位におけるケイ素分布をエネルギー分散型X線分析装置によって解析した。水耕液で育成したイネの葉身にいもち病菌を接種し,経時的に葉身をサンプリングし,マイクロスライサーで60〜90µmの厚さの切片を得て,固定、脱水した。一部は,白金蒸着後に走査電顕で侵入菌糸の有無とケイ化細胞数の観察に供試し,残りはケイ素分析用にカーボン蒸着してX線分析を行った。また,イネの籾についても,同様の観察と測定を行った。その結果,ケイ酸施用の葉身では無施用のものと比較して,菌糸の侵入が顕著に阻害され,ケイ化細胞が高頻度で見られ,組織全体ではケイ素の分布量も多かった。籾でも,ケイ素の分布で葉身とほぼ同様の結果が得られた。ケイ素は表皮細胞の外側細胞壁に多量に存在し,葉肉細胞などの内部では急激に減少しているのが認められた。ケイ素の分布量と感染成立の有無との関係について,さらに詳細に検討中である。

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2009.12.29更新