研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
ケイ酸施用が,イネいもち病菌感染部位における過酸化水素集積とタンパク質の発現変動に及ぼす影響
杉原寛之1・浅野智哉2・森 正之1・西内 巧2・古賀博則1(1石川県立大・2金沢大)
ケイ酸施用が抵抗反応部位の過酸化水素集積に及ぼす影響と,いもち病菌を接種したイネのタンパク質の発現変動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。水耕栽培法でケイ酸を施用したイネ系統ZTSの葉鞘に,親和性のイネいもち病菌北1菌株を非切断葉鞘裏面接種法で接種し,DAB 染色して過酸化水素集積を光顕観察した。またケイ酸を施用し,いもち病菌を接種した葉鞘部位を用いて,接種24時間後のプロテオーム解析を行った。その結果,ケイ酸施用イネでは抵抗性反応部位に過酸化水素の集積が顕著に認められた。また,ケイ酸施用イネでは無施用イネに対して,侵入初期に代謝関連酵素など,種々のタンパク質の発現が高まった。これらの結果は,ケイ酸施用がいもち病菌の物理的な侵入阻害だけでなく,宿主細胞反応を伴った侵入菌糸の伸展阻害にも関わっていることを示唆している。