研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
フェロモントラップによるアカヒゲホソミドリカスミカメ第1世代成虫の発生量調査—市町村調査への導入の試み—
石本万寿広1・松澤清二郎2(1新潟農総研作物研・2新潟防除所)
新潟県では,6月中下旬〜7月中旬に水田内でアカヒゲホソミドリカスミカメ第1世代成虫の発生が認められ,その発生量の調査にはフェロモントラップが有効である。本県では,市町村等を単位とした水稲病害虫発生実態調査が広く行われているが,この調査へのフェロモントラップ導入の可能性を評価するため,2008年に村上市神林地区,長岡市中之島地区で調査を行った。トラップ設置水田は水稲病害虫発生実態調査水田から選定し,神林地区は50点のうち中央部平坦地(約740ha)の24点,中之島地区は40点のうち北部(約900ha)の21点を選定した。 各水田の水田内畦畔際にフェロモントラップ(粘着式)を設置し,7日前後の間隔で誘殺数を調査した。調査期間は6月下旬〜7月中旬の4週間とした。 平均総誘殺数(±SD)は,神林地区29.0(±16.1),中之島地区27.7(±20.5)で,地区間で有意な差異はなかったが,誘殺数の水田間の差異は中之島地区で大きかった。誘殺盛期は中之島地区でやや早かったが,誘殺消長の水田間の差異は両地区ともに小さかった。市町村等の単位においても,フェロモントラップにより第1世代成虫発生量を比較的簡易に調査できると考えられた。