研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメおよびアカスジカスミカメの水田周辺のイネ科植物での幼虫の発育
長澤淳彦・樋口博也(北陸研究セ)
カスミカメムシ科に属するアカヒゲホソミドリカスミカメおよびアカスジカスミカメの2種は斑点米の原因となる。両種は水田周辺のイネ科植物で増殖した後,出穂期に水田に入り,加害すると考えられている。そこで,水田周辺の代表的なイネ科植物10種を用いて幼虫の飼育試験を行い,両種の増殖に及ぼす効果を評価した。切り取った葉身または穂を与え,シャーレで飼育したところ,両カスミカメともスズメノテッポウ,スズメノカタビラで羽化率が高く,次いでアカヒゲホソミドリカスミカメはオヒシバ,アカスジカスミカメはケイヌビエで羽化率が高かった。その他の植物では低い羽化率を示した。このとき,アカヒゲホソミドリカスミカメは葉身でも穂でも発育したが,アカスジカスミカメは葉身では穂に比べ著しく発育が劣った。一方,鉢植にした植物に両種の孵化幼虫を放し飼育した場合,シャーレで飼育した場合に比べて羽化率が高くなった。これらのことから,スズメノカタビラおよびスズメノテッポウにおける両種の増殖力は,非常に大きく,重要な増殖源となっていると考えられるが,一方でその他の多くのイネ科植物も発生源として重要な役割を果たしていると考えられた。