研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
ウメ樹園地におけるアカマダラケシキスイの発生生態と防除方法
下野和彦1・滝修三2(1福井園試・2嶺南振興局若狭)
近年,青ウメ収穫から完熟ウメ収穫への移行に伴い,ウメ樹園地ではケシキスイ類による落下果実への食入被害が目立ち始めている。そこで,場内園地にトラップを設置し,ケシキスイ類の同定および発生生態,本虫に対する効果的な農薬の選定および防除方法について検討した。その結果,福井県のウメを加害しているのはアカマダラケシキスイであることが明らかとなった。初発時期は,成虫が5月中旬,幼虫が6月中旬であった。成虫は,6月中旬および7月下旬に発生のピークがあり,7月下旬以降徐々に減少した。その後,成虫は11月上旬までトラップで捕獲された。幼虫は,7月上旬,8月中旬および9月上旬に発生のピークがあり,9月上旬以降減少し,10月上旬までトラップで捕獲された。未熟果では,傷の有無と食入に一定の関係はなく,落下果実が追熟すると果実内へ食入すると考えられた。成熟後果実では,傷口から優先的に食入することが示唆された。本虫の幼虫に感受性の高い薬剤はアセタミプリド水溶剤であり,散布時期は6月中旬が有効であることが明らかとなった。また,アカマダラケシキスイの食入被害を抑えるには,果実落下後収穫までの期間を短くすることが有効であると考えられた。