研究会(研究発表会)

第61回(石川)

講演要旨

有色粘着板を利用した切り花ギクを加害するカスミカメムシ類の予察と防除

坂本 浩1・加茂良樹1・平間淳司21福井園試・2金沢工大)

福井県の切り花ギクの生産地である,小浜市や大野市においては,近年カスミカメムシ類の加害報告が多くなってきており,生産者からは予察および防除法の早期確立を求められている。そこで,有色粘着板を利用した予察法と採集虫による薬剤の感受性検定を行ったので,報告する。本県美浜町の試験場内キク圃場における優占種は,コアオカスミカメ(Lygocoris lucorum M.)であり,2007年7〜8月の有色粘着板の設置では,黄色粘着板を地表から1.0〜1.5mの高さに設置することにより,誘引補殺虫が多く認められた。2008年5月下旬に同様の条件で粘着板を設置した結果,6月中旬以降に圃場侵入する個体を確認し,Lygocoris属の他種も若干数補殺された。薬剤の感受性検定は,登録薬剤を規定濃度で希釈後1ml摘下したろ紙を7cmシャーレに敷き,カメムシを封入し行った。25°C,12L12D下で,24時間後の死虫数を計測した結果,MEP剤,クロチアニジン剤,ペルメトリン剤等で高い感受性を示したが,浸透性のジノテフランはこの検定法では死虫数が少なかった。以上の結果,黄色粘着板は予察に有効であり,圃場侵入時期を確認しながら,MEP剤等を散布することにより,被害を軽減できると考えられる。

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2009.12.29更新