研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
ミヤコカブリダニ製剤を用いた未成熟フジマメ(千石豆)のハダニ類の防除
米田朋子1・濱崎貴史2・藪 哲男3(1南加賀農林・2石川農総研セ・3石川防除室)
フジマメは,マメ科フジマメ属の植物で西日本を中心に各地で様々な名称で栽培され,未成熟で莢ごと食用に供される。石川県では加賀地方南部の小松市で千石豆,金沢市ではつるまめと称され郷土野菜として栽培されている。特に小松市の産地では施設栽培が主体であることから,ハダニ類の被害が激しく,登録農薬も少なく対策に苦慮していた。ミヤコカブリダニは,ハダニ類以外に花粉や稲わらなどの分解者であるコナダニなども餌にできるため,ハダニ類の発生前から放飼が可能であり,他の天敵と比較して放飼法が容易と考えられる。そこで,本剤の千石豆におけるハダニ類防除の現地実証を行った。放飼は4月下旬からほぼ1週間隔で3回実施し,定着を安定させるためコナダニの増殖源となる稲わらを株元に敷設する区も設けて被害防止効果を比較した。放飼開始36日後には,放飼区は1小葉当たり1.9頭,放飼+稲わら区は0頭と極めて低密度であったのに対し,無処理区は12頭と極めて多発生であった。なお,産地における天敵導入農家の品質及び収量は,慣行の化学農薬使用農家を上回り,高い防除効果が得られた。