研究会(研究発表会)

第61回(石川)

講演要旨

緑肥すき込み後のダイズにおけるタネバエの発生生態と防除法

吉島利則・片山雅雄(富山農総セ農研)

タネバエは,成虫が有機質に富んだ圃場の耕起後間もない湿った状態を好み,土塊の間に産卵し,幼虫が地中で種子や萌芽を食害するダイズなどの害虫である。堆肥などを施用すると成虫を誘引し,播種後の適度な降雨や低温も多発生の誘因となって著しい出芽被害を及ぼすことがある。本県では,近年,地力増強のため,緑肥作物を作付け,すき込み後にダイズを播種する栽培体系が進められているが,こうした栽培体系により本種幼虫の加害によるダイズの出芽被害が懸念される。このため,緑肥作物の導入に伴うダイズにおける本種の発生生態と被害,耕種的防除および薬剤防除について検討した。試験は2006年から 2008年に行い,緑肥作物にレンゲとヘアリーベッチを用いた。すき込み前の緑肥作物を捕虫網ですくい取りしたところ,本種成虫が多く寄生していることが確認された。また,緑肥をすき込んだ後のダイズ栽培で出芽被害が多発し,不出芽粒には本種幼虫が多数確認された。緑肥すき込みからダイズ播種までの期間と被害程度について検討したところ,その期間が2週間以上の場合に出芽被害が軽減される傾向がみられた。薬剤防除試験では,チアメトキサム水和剤の種子塗沫処理,ダイアジノン粒剤の土壌混和処理で高い防除効果が得られた。

第61回(石川)講演要旨タイトルに戻る

Copyright © 2007 The Association for Plant Protection of Hokuriku. All Rights Reserved.
2009.12.29更新