研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
2008年のカキすす点病の多発生とその要因
永瀬 淳1・堀川拓未2(1新潟防除所・2新潟農総研佐渡農技)
新潟県では,2008年にカキすす点病が多発生した。2007,2008年に実施した果実発病の経時調査から,多発生要因について分析した。2008年におけるカキ果実の発病開始は8月下旬頃で,平年に比べ遅かったが,発病開始後,発病果率が直線的に増加して多発生となった。気象経過から,6月上旬〜7月中旬の少雨は発病を抑制したが,8月中〜下旬の低温多雨,10月上〜中旬の高温が発病を助長したと推察された。立地条件や薬剤防除体系の異なる佐渡市内3ほ場における発病推移から,通風・陽当たりの良好な開放的条件のほ場では,薬剤防除後も一定期間発病が抑制され発生量も少なかったが,林に隣接し通風・陽当たりの不良な閉鎖的条件のほ場では,発病が早く発生量も多かった。また,閉鎖的条件のほ場では,調査樹によって発病経過に大きな違いが見られたが,その違いは2年の調査で同じ傾向ではなかった。このようなほ場内変動は,(1)微気象条件,(2)感染・発病の経過,(3)殺菌剤の効果,が相互に関連しているためと考えられ,今後これらの関係解明が必要である。