研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
ダイズ茎疫病菌(Phytophthora sojae)の遊走子のう形成に及ぼす温度とpHの影響
三室元気・向畠博行・岩田忠康(富山農総セ農研)
ダイズ茎疫病の耕種的防除につなげるため,発生生態解明の一端となる遊走子のうの形成に及ぼす温度とpHの影響を検討した。富山県で分離した3菌株を供試し,V8寒天培養ディスクをV8液体培地およびインゲン煎汁液体培地で25°C,24時間培養し,所定の濃度に調製した塩類溶液とオートクレーブで滅菌した雨水に培養菌叢を浸漬し,10〜30°Cでインキュベートした。また,形成限界温度を調べるため,32〜38°Cの高温域を設定した。次に,V8液体培養後の菌叢pH5.0〜7.0に調製した0.1M,MES-NaOH緩衝液に浸漬し,20°Cでインキュベートした。遊走子のうの形成と温度の関係については,3菌株ともに25°Cが最適で,10°Cでは形成されず,15°Cでは若干の形成が認められた。高温域では34°Cで形成が認められたが,36°C以上では何れの菌株でも形成されなかった。また,pHとの関係については,pH5.0〜7.0の間で極端な形成阻害を起こすことはなく,また,菌株によってやや異なったが,pH6.0付近が良好であった。今後は,遊走子の発芽,遊走子のうの間接発芽およびそれらの感染に関与する要因を明らかにしていく。