研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
イネいもち病菌株0S99-G-7aゲノム中のPot2様因子存在領域をPCR法で増幅するプライマーセット
平八重一之・森脇丈治・芦澤武人・高橋真実(北陸研究セ)
いもち病菌株OS99-G-7aはDNAマーカーにより他菌株と識別が可能である。しかし,Pik品種に対する病原性獲得に伴ってマーカー内部のPot2様因子が欠失することから,本菌株の病原性変異には転移因子の関与が示唆される。そこで,OS99-G-7aに存在するすべてのPot2様因子を対象とし,その存在領域を元株と変異株の間で比較するためのプライマーセットを設計した。まず,OS99-G-7aのPik品種に対する病原性獲得株について,いもち病菌ゲノムの5倍に相当する5kb×40,000クローンのプラスミドライブラリーを作成し,Pot2様因子の塩基配列を基に調製したプローブによるスクリーニングを行い,768クローンを選抜した。つぎに,これらの塩基配列をもとに,Pot2様因子の配列を含むPCR産物(4kb以下)を想定した25塩基のプライマーを238種類,119セット設計した。アニーリングの温度を 55°Cあるいは60°CとしたPCR法では,約100のプライマーセットで明瞭なバンドが検出され,Pik品種に対する病原性獲得株のみで増幅されるバンドが確認された。本プライマーセットは,OS99-G-7aの病原性変異とPot2等転移因子との関係解明に有効と考えられる。