研究会(研究発表会)
第61回(石川)
講演要旨
mgssd1遺伝子を破壊したイネいもち病菌を接種したイネにおける宿主細胞反応と分生胞子形成
水野 聡1・田中茂之2・辻 元人2・久保康之2・森 正之1・古賀博則1(1石川県立大・2京都府立大)
これまでに,出芽酵母の細胞壁構成に関与するSSD1遺伝子の相同遺伝子であるイネいもち病菌MgSSD1遺伝子の病原性への関与が報告されている。今回はMgSSD1遺伝子が関与する病原性抑制のメカニズムを解明するために,イネいもち病菌(北1菌株)のmgssd1遺伝子破壊株とエクトピック株を接種したイネ系統ZTSでの宿主細胞反応の経時的観察と分生胞子形成数の比較を行った。その結果,mgssd1遺伝子破壊株ではエクトピック株と比較して,菌侵入9〜15時間後に侵入菌糸の伸展阻害が顕著となり,その被侵入宿主細胞は壊死していた。DAB染色により壊死細胞には過酸化水素の集積が認められた。また,分生胞子の形成数はmgssd1遺伝子破壊株ではエクトピック株と比較して著しく少なかった。以上のことから,イネいもち病菌の感染を受けたイネは,mgssd1遺伝子破壊株とエクトピック株との細胞壁の何らかの違いを菌侵入初期に認識していることが示唆された。