研究会(研究発表会)
第62回(福井)
講演要旨
イナズマヨコバイによる水稲の被害 — 圃場網枠試験による検証
平江雅宏1・関和孝博2(1北陸研究センター・2栃木県農業大学校)
近年、イナズマヨコバイが局地的に多発生する事例が報告されている。本種はイネ萎縮病ウイルスを媒介する害虫として知られているが、本種の吸汁による水稲の収量および品質への直接的な被害については不明な点が多い。そこで、イナズマヨコバイの加害による水稲の被害を明らかにするため、5月中旬(早植イネ)と6月下旬(遅植イネ)にポットおよび圃場に移植した水稲を用い、出穂期に成虫を放飼し水稲の被害程度を調査した。ポット放飼試験の結果、イナズマヨコバイの加害により水稲の上位葉の黄化や下位葉の枯死が認められ、放飼密度が高まると被害葉数は増加した。また、被害程度は遅植イネで顕著であり、放飼数が増えるにつれて玄米重の低下が認められた。圃場網枠への放飼試験の結果、早植イネ、遅植イネともに、イナズマヨコバイの放飼数が増えるにつれて玄米重が低下した。収量構成要素のうち、玄米千粒重には大きな差はなく、登熟歩合の低下がイナズマヨコバイ加害による水稲の減収の主要因であると考えられた。