研究会(研究発表会)

第62回(福井)

講演要旨

新潟県におけるMBI-D剤耐性イネいもち病菌のモニタリング

石川浩司1・黒田智久1・岩田大介1・堀武志2・佐藤秀明31新潟農総研作物研・2現:新潟県経営普及課・3現:新潟農総研園芸研)

新潟県におけるMBI-D剤耐性イネいもち病菌の分布状況を、PIRA-PCR法(Kaku et al.,2003)を用い調査した。葉または穂いもちからの単胞子分離菌を、2003〜2006年は45〜107地点について1地点1菌株、2007〜2009年は54〜102地点について1地点2菌株を供試した。耐性菌の初確認は2005年で、2007年には調査菌株の少ない佐渡を除く全地域で確認された。また、耐性菌確認地点率は年々増加し、2009年には33.3%となった。2005年に耐性菌が確認された地域では2002年頃よりカルプロパミド剤が普及し、2006年にはいもち病を対象とした箱処理剤の約60%がカルプロパミド剤であった。2008、2009年に採種ほ産種子からの分離菌を検定した結果、2008年には10地点中2地点、2009年には8地点中4地点で耐性菌が確認された。採種ほ場では2004年以降MBI-D剤を使用しておらず、採種ほ産種子から分離された耐性菌は、周辺の一般栽培ほ場から移入したと推定された。以上より、採種ほ場においてMBI-D剤を使用しなくとも、採種ほ場と一般栽培ほ場とが隔離されていない場合には種子が耐性菌を保菌する可能性があり、周辺ほ場を含めた耐性菌対策が必要と考えられた。

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2011.1.21更新