研究会(研究発表会)
第62回(福井)
講演要旨
石川県におけるP-BLASTMULによる穂いもち病勢進展予測の適合性検証
塚本昇市・安達直人(石川農研)
穂いもち病勢進展シミュレーションモデルP-BLASTMUL(芦澤ら、2009)の石川県における適合性を検討した。2008年と2009年に県内のいもち病常発地のコシヒカリ栽培圃場に、いもち病の無防除区を設け、発病を調査した。調査で得られた出穂直前の葉いもちの株あたり病斑数をモデルに入力し、出穂25日後の穂いもち被害籾率の予測値と実測値を比較した。葉いもち病斑数以外のパラメータの値は、圃場抵抗性に0.7、施肥水準に0.9、出穂後の低温係数に1を入力した。その結果、2008年、2009年ともに出穂25日後の実測値と予測値との間に大きな違いはなく、本モデルは石川県での穂いもち病勢進展の調査結果と同様の傾向を示すと考えられた。出穂期1回防除区の発病調査の結果から、本モデルのパラメータである薬剤散布効果に0.3を入力すると実測値に近かった。また、本モデルでは出穂40日後に被害籾率が5%と予測される葉いもち病斑数は2個、10%は4個となり、要防除水準を設定できる可能性が示唆された。