研究会(研究発表会)
第62回(福井)
講演要旨
疫病菌エリシターによるジャガイモの防御反応:宿主CDPKキナーゼを介した過敏感反応の誘導機構
古市尚高1,2・岡村久一3・堀米恒好1・太田雅寿3(1新大院自・2新大超域研・3新大工)
疫病菌に対するジャガイモ過敏感防御反応には、ジャガイモのSdCDPK1とSdCDPK2および疫病菌由来のエリシター(PiPE)の関与が示唆されている(Furuichi et al., 2008)。今回、受容体CDPKキナーゼとエリシターの解析のため、大腸菌のpET高発現系を用いて、His-融合エリシター蛋白質(27kDa)を作成した。His-融合蛋白質は、ニトロセルロース膜での透析後、Niカラムーアフィニティー精製を行い、イミダゾール(濃度600~800mM)にて精製し、SDS-PAGEにより確認した。活性の検討は活性酸素生成量測定により行った。His-融合CDPK蛋白質の作成も行い、250〜350mMにて溶出精製した。リン酸化活性の検討は、抗リン酸化抗体を用い、PVDF膜上にてキナーゼ活性の存在を確認した。以上の結果、これらのCDPKキナーゼおよびPiPエリシター蛋白質が、ジャガイモ細胞膜上に存在するNADPHオキシダーゼの活性に相互作用することを認め、CDPKキナーゼ活性の上昇を測定できた。今後、Site-directed mutationを利用した突然変異体の作成をおこない、検討を進める。