研究会(研究発表会)
第62回(福井)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメおよびアカスジカスミカメのカヤツリグサ科植物での発生について
長澤淳彦・樋口博也(北陸研究セ)
アカスジカスミカメはイネ科植物以外にもイヌホタルイやシズイなどのカヤツリグサ科植物に産卵することができること、水田内におけるこのような植物の存在が斑点米の発生に関与することが報告されている。しかし、カヤツリグサ科植物がイネ科植物と同様に寄主植物として斑点米カメムシの増殖源となっているのかは不明であった。そこで、斑点米カメムシとして注目されるアカヒゲホソミドリカスミカメおよびアカスジカスミカメを用いて室内での産卵試験および幼虫の飼育試験を行い、両種とも十分に産卵は可能であるが、幼虫の成育は不良であることを前々回大会で報告した。今回は、ポット植のカヤツリグサ科植物(イヌホタルイ、サンカクイ、コゴメガヤツリ)を用いて、野外あるいは準野外条件で産卵および幼虫の成育を調査した。その結果、産卵はほとんど確認されず、幼虫の成育試験においても成虫まで到達したものは僅かであった。室内試験の結果と合わせると、カヤツリグサ科植物は寄主植物としては質が低く、両種の増殖源としては重要ではないと考えてよいと思われる。