研究会(研究発表会)

第62回(福井)

講演要旨

白ふ多発生イネにおけるアカスジカスミカメの増殖

石本万寿広(新潟農総研作物研)

アカスジカスミカメのイネでの増殖性を明らかにするため、成虫放飼試験を行った。水田で栽培したイネ(こしいぶき、コシヒカリ)を出穂前に掘り上げて1/5000aワグネルポットに移し、ビニールハウス内(側面開放)に設置した水槽で管理した。袋かけしたイネ株(出穂2〜3日後)に成虫2対を放飼し、7日後に放飼虫を除去し、この18日後に次世代幼成虫数を調査した。調査後にイネを刈り取り、産卵数と割れ籾数を調査した。産卵数調査は白ふと不稔穎花に限定した。産卵数、幼成虫数の平均±SDは、こしいぶき(n=8)が62.9±42.8個、14.7±9.6頭、コシヒカリ(n=10)が83.8±43.9個、17.9±15.9頭で、いずれも品種間差は認められなかった。平均産卵穎花数は17.3粒、穎花当たり産卵数は4.4個で、白ふへの産卵がほとんどで、白ふの長さと産卵数の間には正の相関があった。平均割れ籾数は、こしいぶきが92.4粒、コシヒカリが72.7粒で品種間差は認められなかった。割れ籾数は幼成虫数に対して有意な効果が認められた。白ふは本種の産卵に適し、幼虫発育には割れ籾数が影響すると考えられた。(白ふ:穎に葉緑素が生成される以前に発育を停止した穎花で、生育停止の時期により大小がある。)

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2011.1.21更新