研究会(研究発表会)
第62回(福井)
講演要旨
水稲品種「てんたかく」の登熟初期におけるアカヒゲホソミドリカスミカメのトラップ誘殺数による斑点米被害の予測
吉島利則1・片山雅雄1・樋口博也2・高橋明彦2(1富山農総セ農研・2北陸研究セ)
水稲品種「てんたかく」において、登熟初期のアカヒゲホソミドリカスミカメのトラップ誘殺数による斑点米被害の予測を試みた。解析には、2007–09年に農業研究所圃場の無防除条件下で得た出穂後の時期別誘殺数、割れ籾率および斑点米率の延べ32点のデータを用いた。誘殺数と斑点米率との相関を求めたところ、割れ籾率の高い2007年と低い2008–09年に分けた場合に各々で正の相関が認められた。また、重回帰分析により誘殺数と割れ籾率から斑点米率を予測したところ、斑点米率が0.15%程度までは予測値と実測値との間に大きな差はないが、それ以上では予測の誤差は大きくなった。さらに、斑点米率0.1%以上と未満を目的変数、誘殺数またはこれと割れ籾率を説明変数としてロジスティック回帰分析を行ったところ、出穂後10日間または15日間の誘殺数を用いたモデルで、斑点米被害発生確率の推定値と実測値とは概ね一致した。また、説明変数に割れ籾率を加えた方が赤池情報量基準は小さく、当てはまりは良いと考えられた。以上から、登熟初期の誘殺数により斑点米被害を予測できる可能性が示唆された。