研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
ジャガイモ活性酸素生成遺伝子(Rboh)の発現と疫病菌PiPEエリシターによる誘導
古市尚高1・横川和俊1・太田雅寿2(1新潟大院自然・2新潟大工)
ジャガイモ疫病菌に対する抵抗性品種エニワ(R1)cDNAよりNADPHオキシダーゼホモログEnrboh1をクローニングし全塩基配列を決定し報告した(日植病2001)。また,ジャガイモ抵抗性-罹病性品種間におけるrboh1の転写活性を比較するため,cv.メークイン(罹病性)cDNAよりNADPHオキシダーゼホモログMqrboh1をクローニングした。シークエンス解析の結果,全アミノ酸配列はEnrboh1と94%の相同性を示した。またジャガイモ疫病菌由来のPiPEエリシターとサプレッサーを処理したジャガイモ葉より経時的に抽出した全RNAを鋳型として,品種間におけるrboh1転写活性を定量的RT-PCR法にて比較した。Enrboh1はCDPKキナーゼの発現に追随してPiPE処理後6時間をピークとして転写活性の増加が見られ,サプレッサー処理により抑制された。また,Mqrboh1の転写はエニワよりも低レベルで誘導された。PiPEにより誘導されるrboh1の転写活性は抵抗性-罹病性間で差異を示し過敏感反応シグナル伝達機構を誘導すると考えられた。