研究会(研究発表会)

第63回(新潟)

講演要旨

水田と畦畔におけるクモヘリカメムシの発生消長

山代千加子・永瀬 淳・小池利幸(新潟防除所)

新潟県の水田では,2003年頃からクモヘリカメムシの発生が確認され,2008年頃から分布の拡大と密度の増加傾向がみられている。2010年に中越地域の4地点(各1圃場)で,水田及び畦畔におけるクモヘリカメムシの発生消長を調査し,次の結果が得られた。(1)水田内のすくい取りでまとまった発生のみられた3圃場(品種;コシヒカリBL,こしいぶき,越路早生)では,いずれもイネの出穂期前から水田への成虫侵入が認められ,一部では早い時期から水田内に産卵されている可能性がうかがわれた。(2)すくい取りによる,畦畔と水田内の消長の関係は低く,水田内密度はその水田の畦畔密度を反映する傾向はみられなかった。(3)畦畔及び水田内に設置したフェロモントラップ誘殺消長と設置地点のすくい取りによる消長の関係は低く,前年に佐渡地域で得られた結果と同様であった。(4)調査圃場では現地慣行の薬剤散布が実施され,一時的な密度抑制効果がみられたが,一定期間後に幼虫密度が増加し,発生程度の高い場合には1回防除では不十分であった。また,佐渡地域で調査したコシヒカリBLでも,発生程度の高い場合に1回防除では不十分と考えられ,中越地域で得られた結果と同様であった。

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2011.1.21更新