研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
チアメトキサム8%/ピロキロン12% (デジタル®メガフレア®)箱粒剤のトゲシラホシカメムシに対する効果および作用性の検討
有澤佳紘・杉山稔・森本輝一・石井俊彦・杉井信次(シンジェンタ ジャパン株式会社)
本剤(デジタル®メガフレア®箱粒剤)は,斑点米カメムシ類に対して水稲育苗箱用として初めて農薬登録を取得した殺虫殺菌剤であり,殺虫成分チアメトキサム(以下TMX)はカスミカメムシ類に対して安定した効果を示すことが確認されている(杉井ら,2009)。今回は,北陸地域において発生の多いトゲシラホシカメムシに対する本剤の作用性および効果について検討した。室内作用性試験において,TMXを極低濃度(0.02ppm)で経口投与した場合,後脚麻痺・横転等の行動抑制効果および吸汁阻害効果を示した。また,ポット放虫試験では,本剤の処理により次世代虫数の密度低減が認められた。さらに,圃場放虫試験では,本剤と本田散布1回の体系処理における斑点米率は現地慣行体系処理(箱粒剤と本田散布2回)とほぼ同等であった。したがって,本剤はトゲシラホシカメムシの行動および増殖を抑制することにより斑点米率の低減に寄与していると推察され,慣行の斑点米カメムシ防除体系の出穂期における本田散布を1回省略できる可能性があると考えられた。