研究会(研究発表会)

第63回(新潟)

講演要旨

イネいもち病菌mgssd1遺伝子破壊株の電子顕微鏡観察および接種イネのマイクロアレイ解析

水野 聡1・加藤智朗2・西内 巧2・栗原孝行3・高原浩之1・古賀博則11石川県立大・2金沢大・3金沢医科大)

これまでの研究で,SSD1遺伝子が変異した病原菌は正常な細胞壁が構成できず,また,植物の免疫活性を強く誘導することが報告されている。本研究ではイネいもち病菌のMgSSD1遺伝子の病原性への関与を明らかにするため,mgssd1遺伝子破壊株を作製し,菌細胞壁の微細構造を透過電子顕微鏡を用いて観察した。その結果,対照と比較して顕著な差異は認められなかった。一方,イネ感受性系統ZTSにmgssd1遺伝子破壊株を接種し,6時間後のイネ葉鞘を用いてマイクロアレイ解析を行い,対照区と比較してmgssd1遺伝子破壊株を接種したイネで2倍以上に発現が上昇する遺伝子および1/2倍以下に発現が抑制される遺伝子が同定された。以上のことから,mgssd1遺伝子破壊株によるイネの抵抗性誘導は,菌認識に関わるような感染過程の早い段階におけるこれら遺伝子の発現変動によって引き起こされることが示唆された。

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2011.1.21更新