研究会(研究発表会)

第63回(新潟)

講演要旨

ミヤコカブリダニによるチューリップサビダニ防除の可能性

中野 潔1・松澤清二郎21新潟農総研園芸研・2新潟防除所)

チューリップ切花の品質を低下させるチューリップサビダニ(以下サビダニ)は,現在登録のある農薬が有機りん系の1剤だけで,連年使用による感受性の低下が懸念されている。演者らは代替の化学合成農薬を探索しているが,卓効を示す薬剤が見つかっていない。そこでミヤコカブリダニ製剤の放飼による防除の可能性を検討した。まず,2003年と2008年にポリ袋内にサビダニ寄生球根とミヤコカブリダニ製剤を入れたところ,いずれの年も放飼直後からサビダニ密度が急速に低下し処理8〜9日後にはサビダニ生存虫密度はきわめて低くなった。球根表面にミヤコカブリダニも散見され,定着性に大きな問題は無いと考えられた。次に2010年9月28日に室内で部屋を分けて放飼区と無処理区を設け,球根用乾燥コンテナにサビダニ寄生球根75球を並べ,ミヤコカブリダニ1000頭を放飼し,その効果を球根第1鱗片と第2鱗片表面の払い落とし虫数により評価した。無処理を100とした場合,放飼6日後,34日後,73日後でそれぞれ37,1,8 となり高い防除効果が認められた。捕食は,第2鱗片まで認められた。ミヤコカブリダニは放飼34日後まで球根上で確認されたが73日後には確認できなかった。

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2011.1.21更新