研究会(研究発表会)

第63回(新潟)

講演要旨

新潟県下のトルコギキョウにおけるLisianthus necrotic stunt virus(仮称)の発生

伊藤由衣1・棚橋 恵2・佐野義孝11新潟大農・2新潟農総研園芸研)

新潟県新潟市の西蒲区巻地区でトルコギキョウにえそ輪紋症状を引き起こすウイルス病が発生した。感染葉からトータルRNAを抽出し,Koenig et al.(2004)がデザインした各種tombusvirusの外被タンパク質(CP)領域の全長を増幅できるプライマーCir3/Cir2を用いたRT-PCRにより,CP領域を含むおよそ1300bpのcDNAが増幅された。塩基配列を解析し,CP領域のアミノ酸配列をTombusviridaeに属する数種のウイルスと比較した結果,長野で分離されたLisianthus necrotic stunt virus のNag-4株(藤永ら2006)の配列と99%の相同性を示した。また,Pear latent virus (PLV)およびEggplant mottled crinkle virus (EMCV)と78%の相同性を示した。トルコギキョウへの戻し接種では接種葉に壊死斑が現れ,上位葉にはえそ輪紋症状が現れやがてえそ斑になった。本ウイルス感染葉粗汁液を用いた土壌伝染性試験では,土壌菌を介した伝染は見られず,物理的な接触により土壌伝染が確認された。宿主範囲の調査ではトルコギキョウとNicotiana benthamianaに全身感染するほか,ナス科やアカザ科の検定植物に局部感染することが確認された。以上のことから,本ウイルスは長野県で報告されているLiNSVであると考えられた。

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2011.1.21更新