研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
イネカラバエによる水稲傷穂被害の品種間差異
松澤清二郎1・中野 潔2・小野長昭3(1新潟防除所・2新潟農総研園芸研・3新潟県植防協)
近年,新潟県では山沿い地域を中心にイネカラバエによる被害が増加傾向にあり,特に被害の大きい「五百万石」で問題となっている。被害の品種間差異(耐虫性)に関する試験事例は数多く報告されているが,現在の新潟県内主要品種について比較した事例はない。そこで傷穂被害発生の品種間差異について調査を実施した。県北部の村上市内のイネカラバエ常発地3地点において「五百万石」と「コシヒカリBL」が隣接するほ場を選び,傷穂被害の発生を調査した。傷穂の発生は3地点とも「コシヒカリBL」に比べ「五百万石」の方が多かった。3地点の傷穂率の平均は「五百万石」が11.6%,「コシヒカリBL」が3.9%であった。2009年にはポット栽培による調査も実施した。地域の主要4品種「五百万石」「こしいぶき」「こがねもち」「コシヒカリBL」をイネカラバエ多発生ほ場の畦畔際にあらかじめ移植しておき,越冬世代成虫の産卵盛期頃の6月29日にワグネルポットに植えかえ,無防除で栽培した。傷穂被害の発生を調査した結果,傷穂発生率は「五百万石」で最も高く,「こしいぶき」,「コシヒカリBL」で低かった。