研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
田畑輪換とイネ稲こうじ病発生の関係
大場淳司・辻 英明(宮城古川農試)
イネ稲こうじ病の伝染源は, 圃場に残存する厚壁胞子であると考えられている。このため,田畑輪換においてダイズから水田に復元すると, 畑化が伝染減量に影響し本病の発生が少なくなる可能性が報告されている(笹原ら, 2008)。今回は,この検証を目的とし,イネの連作圃場(以下,連作田)と復元圃場が混在している地区で,2009年と2010年,77圃場を対象に調査した。両年とも調査は9月に行った。2009年の発生量は中程度であり,全圃場中21圃場で本病が発生し,連作田ではすべてで発生が認められた。発病穂率および病粒数については,連作田での発生が有意に高かった。一方,2010年は,本病の感染に最も好適であるとされるイネの穂ばらみ期頃の降雨がなく極少発生年となり,本病の発生が認められたのは3圃場のみであった。各圃場に残存していた伝染源量については現在解析中であるが,これらの結果から,本病の発生には前年の伝染源量が影響する可能性が示唆されたものの,極少発生年には気象の影響も大きく,本病の発生予察や防除要否判断の際には,伝染源量に加え気象条件も考慮することの必要性が示唆された。