研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
イネ出穂期のアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫発生量に対する水田周辺イネ科植物の影響
西島裕恵1・片山雅雄1・吉島利則2 (1富山農総セ農研・2現:新川農振セ)
アカヒゲホソミドリカスミカメは富山県の斑点米カメムシ類の主要種であり,多発生要因の一つとして水田周辺イネ科植物の繁茂量の影響が考えられている。本種の第2世代成虫はイネ出穂を機に水田に侵入することから,イネ出穂期頃の水田周辺イネ科植物繁茂地とその草種および本種の発生量について明らかにすることが必要と考えられる。そこで,A(約50 ha),B(約35 ha)の2地区において,2009〜2010年,イネ出穂期頃に水田周辺イネ科植物繁茂地および水田畦畔においてすくい取り調査を行うとともに,水田に合成性フェロモントラップを設置して誘殺数を調査した。その結果,個々の水田における畦畔すくい取り虫数と水田トラップ誘殺数との間には明確な相関は認められず,誘殺数は,その水田の畦畔に生息する個体数だけではなく,より広い範囲の畦畔やイネ科植物繁茂地に生息する個体数を反映していると考えられた。A地区ではイネ科牧草地,B地区では大麦跡のスズメノテッポウ等,イネ科植物の被度が高くかつ出穂しているところですくい取り虫数が多くなり,また,中生出穂期頃に比べ早生出穂期頃の虫数が多い傾向がみられ,これら水田周辺イネ科植物も本種の発生源となっていると推察された。