研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメの交尾後の性受容性の低下と寿命の変化
山根隆史(北陸研究セ)
我々は本研究においてアカヒゲホソミドリカスミカメのメスの交尾後の性受容性の低下と交尾によるメスの寿命に対する影響を調べた。その結果,本種のメスは交尾後に性受容性の低下が観察され,時間の経過とともに性受容性の回復がみられ,最終的には半数以上のメスが再交尾した。また,交尾を途中で中断させた場合に時間経過によって交尾受容性の回復の程度が高く,さらに,一度交尾を経験して射精物が少ないと推測されるオスと交尾をしたメスは性受容性の低下がみられないことから,メスの性受容性の低下にはオスの射精物が影響していると考えられる。また,エサと水を与えなかった場合に交尾をしたメスは未交尾メスに比べて,生存時間が長くなった。一方,エサと水を与えた場合には交尾をしたメスと未交尾メスで違いは見られなかった。この結果からメスは交尾の際にオスの射精物から栄養成分や水分を受け取っていると思われる。