研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメ第2世代幼虫の水田内増殖
高橋明彦(北陸研究セ)
アカヒゲホソミドリカスミカメは,イネの出穂を契機として第2世代成虫が水田に侵入するとされているが,第1世代成虫の発生盛期である6月下旬から7月上旬にかけても,水田において成虫の密度増加が認められる。成虫数増加後の幼虫発生を明らかにするために,6月下旬から8月上旬に出穂期の異なる3品種においてサクションキャッチャーによる捕獲調査を行った。いずれの品種においても,6月下旬から7月上旬にかけて成虫捕獲数の増加が認められ,7月上旬から若齢幼虫が増加し,それに次いで中老齢幼虫の増加が確認された。捕獲虫数には品種間差があり,第1世代成虫,第2世代幼虫とも早生品種において最も多く,中生のコシヒカリにおいて最も少なかった。第2世代成虫の羽化盛期は,7月下旬と考えられた。7月24日出穂の極早生品種においては,出穂前後に成虫数が急増したが,この成虫の一部は水田内で羽化した個体が残存したものではないかと考えられた。同様の傾向は,早生品種においても認められ,水田が第2世代成虫の増殖源となっている可能性が示唆された。