研究会(研究発表会)
第63回(新潟)
講演要旨
岩手県におけるウコンノメイガの発生消長
横田 啓(岩手農研)
ダイズ害虫ウコンノメイガPleuroptya ruralisは日本海側の特に北陸地域で多発することが多いといわれてきたが,近年では他地域でも発生面積が増加傾向にあり,岩手県においても2005年以降に県中南部において多発生による被害が報告されている。有効な防除対策を確立する上でも本種の発生生態を明らかにすることは重要であるため,岩手県中部のアカソ群落とダイズ圃場におけるウコンノメイガの発生消長を調査し,本種の越冬や世代経過について検討した。アカソ群落において,本種の越冬後幼虫は4月下旬から2〜4齢幼虫が確認され,その後5齢,6齢,蛹となって6月下旬以降に羽化した。その後の夏期間に卵塊や幼虫は見られなかったが,9月上旬から10月下旬まで卵塊,9月中旬から11月中旬にかけて1〜4齢幼虫が再び認められた。一方,ダイズ圃場においては,本種の成虫は7月下旬および9月中旬の2回の発生ピークが認められ,幼虫は7月から9月まで確認された。これらの結果と越冬斑の有無を考慮すると,岩手県において本種は3齢,4齢とごくわずかの2齢で越冬し,世代間で寄主を変えながら年間2世代を経過すると推察された。