研究会(研究発表会)
第64回(富山)
講演要旨
イネ墨黒穂病被害籾の粒厚、終端速度の分布
斎藤祥平1・石川浩司2・樋口泰浩2・黒田智久2・岩田大介2(1新潟県農業大学校・2新潟農総研作物研)
イネ墨黒穂病は農産物検査で汚損粒の混入が確認されると規格外となる。新潟県では2008、2009年に糯品種「わたぼうし」を主体に多発生し、規格外がそれぞれ882t、478t発生し問題となった。そこで、墨黒穂病による規格外の発生を抑える調製技術を開発する基礎資料とするため、粒厚と終端速度別に被害粒の頻度分布を調査した。常発ほ場からサンプリングした「わたぼうし」の株を手脱穀して段ふるいで選別し、被害籾の混入状況を調査した。また、被害籾と粗籾の終端速度を測定した。その結果、粗籾は粒厚2.1〜2.7mm未満、終端速度6.6〜7.8 m/s未満、被害籾は粒厚1.8未満〜2.7mm未満、終端速度3.4〜6.8 m/s未満の範囲に多く分布した。粒厚、終端速度において粗籾と被害籾の分布は異なり、分布の違いは終端速度でより大きかった。また、粒厚2.2mm未満に被害籾の57.5%、粗籾の8.2%が、終端速度6.6 m/s未満に被害籾の97.9%、粗籾の6.2%が分布した。以上より、粗籾と被害籾の粒厚や終端速度の違いを利用し、粒厚選別や風選別で被害粒の除去が可能であり、選別による収量の損失を考慮すると、風選別が粒厚選別より被害籾の除去に有効であると推測された。