研究会(研究発表会)
第64回(富山)
講演要旨
ハトムギで問題となる病害虫の発生状況と産地での取り組み
関原順子1・田中豊継1・斉藤祐三子1・島田和弘1・田尻俊郎2・岩田忠康3(高岡農林振興セ1・富山農林振興セ2・富山農総セ農研3)
ハトムギは富山県氷見市や小矢部市等で栽培されている。近年、栽培面積の増加や連作に伴い、様々な病害虫が発生し問題となってきた。なかでも葉枯病の被害は大きく、収穫皆無となる場合があることから、現在、本県では耐病性品種である「あきしずく」を採用している。また、登録薬剤が少ないことから登録拡大に向け防除試験を実施したところ、イプロジオン水和剤(以下IW)、炭酸水素ナトリウム水和剤及びプロベナゾール粒剤の防除価は1回目が83、13、21、2回目は68、24、未試験となり、登録のあるIWの効果が最も高かった。一方、虫害ではアワノメイガによる被害が大きいことから、フェロモントラップで発生消長を調査したところ、本種はハトムギの生育期間中、常に飛び交っているものの年次変動が大きく、その発生消長は判然としなかった。ただし、8月3半旬から被害が目立って確認されることから、第2世代幼虫が最も被害を及ぼすものと考えた。よって6月上旬に播種した場合の防除適期は7月下旬〜8月上旬と予測し、BT剤を用いた試験を実施したところ、防除効果が確認された。以上のように、本県では耕種的防除や発生予察を実施しながら、数少ない登録薬剤を用いた病害虫の防除に取り組んでいる。