研究会(研究発表会)
第64回(富山)
講演要旨
イネかさ枯病菌の病原性におけるべん毛の役割について
深川真全・長井美樹・○加藤久晴(福井県立大)
多くの植物病原細菌において、べん毛もしくはその構成成分が、病原性あるいは過敏感反応誘導性に関与していることが示されている。本研究では、イネかさ枯病菌(Pseudomonas syringae pv. oryzae)の病原性におけるべん毛の役割を解析するため、べん毛構成タンパク質の1つであるフラジェリンをコードするfliC遺伝子を欠損した変異株(ΔfliC)を作出した。抗フラジェリン抗体を用いてフラジェリンが欠損していることを確認したのち、0.25%アガロースを用いたswimmingアッセイを行ったところ、ΔfliC変異株は運動能を消失していることが確認された。次に、宿主植物であるイネ(金南風)およびエンバクに接種したところ、野生株にくらべてΔfliC変異株による病徴の方が激しくなる傾向が認められたことから、本菌の病原性にべん毛が関与していることが示唆された。また、非宿主植物であるエンドウ、トマト、タバコに接種したところ、いずれにおいても過敏感反応(HR)による病斑が誘導されたが、タバコにおけるHR病斑は野生型とΔfliC変異株では異なることが観察された。