研究会(研究発表会)
第64回(富山)
講演要旨
新潟県の「コシヒカリ」におけるアカヒゲホソミドリカスミカメの発生実態
石本万寿広・山下亜樹・渡辺謙介(新潟農総研・作物研)
2009〜2011年に新潟県長岡市の2地区(A地区:面積9ha、B地区:15ha)のほぼすべての圃場(品種:コシヒカリ)に、アカヒゲホソミドリカスミカメのフェロモントラップを設置して誘殺数調査を行い、そのすべてあるいは一部について斑点米調査を行った。A地区は一部の圃場でジノテフラン粒剤を使用し(出穂期6日後以降に散布)、B地区はすべての圃場で殺虫剤を使用しなかった。各年次の出穂期後5日間の平均誘殺数は、A地区(n=23〜24)は1.4〜2.3頭、B地区(n=20〜22)は0.9〜2.7頭で、いずれの年次も地区間で有意な差異は認められなかった。斑点米率は、A地区の2009年、B地区の3か年は、いずれも極めて低く、0.1%を超える圃場はなかった。A地区の2010年、2011年では、斑点米率が0.1%を超える圃場があり、その要因としては割れ籾の多発生、アカスジカスミカメの発生、水田内のヒエ類の発生が考えられた。以上のことから、コシヒカリでは通常、アカヒゲホソミドリカスミカメの発生が少なく、本種が主要種である地域では、殺虫剤使用を省略できる場合が多いと考えられた。